ヴァイオリンの左指

公開日: : ヴァイオリンの小話

上手な人のヴァイオリン演奏を聴いていて、どうしてあのように上手く弾けるのだろうか、とある種の不思議さと畏敬の念を覚える人は少なくないでしょう。

上手な人のボーインが巧みなのはもちろんのことですが、左手の動きを見ていると、どんな難しいパッセージでも、その直前には指がちゃんと先回りして必要なポジションで弓を待っています。

そして弾ける範囲のポジションで一連の処理が終わると、また次の処理領域に目にも止まらない速さで移動します。

 

二十世紀を代表するヴァイオリニストの一人「ヤッシャ・ハイフェッツ」の「ヴィエニャフスキ作曲 スケルツォ・タランチュラ」の演奏動画をスローモーションで見ると、まさに「左指が、素早く次から次へと準備していく」のを見たことがあります。

頭の中では、もう数段階先の処理命令群が組み上がっていて、それらは数珠つなぎになっていて、いまや遅しと待っているのでしょう。

間違えそうになったら、たちまち予備・次善の処理命令が繰り出されて急場をしのぐこととなっているのです。

ヴァイオリンを始めて間もない人や普通の人では、目の前に譜面を見て初めて必要な命令が、それも単発に出てくるだけでしょうから、ちょっとでもつっかかると、たちまちコケてしまうか、あるいは演奏速度が大幅に落ちてしまうでしょう。

 

当教室ではどの生徒さんも「セヴシック シリーズ」で左手指の基礎練習を、それぞれのペースで取り組んでいらっしゃいます♪

関連記事

ヴァイオリン曲を仕上げていくポイント

取り組んでいる曲の練習で大切なのは、難しいところを 取り出して、そこだけさらう事です。 楽譜を

記事を読む

ヴァイオリンの運弓は

弓を持つ時、当教室では 「手指の末関節に弓を乗せて親指をフワーッと丸みを帯びた感じにして、指先

記事を読む

no image

弓の歴史

古代の弓と中世に使われていた弓の形状は、絵画や文献も少なく明らかではないのですが「木や竹の棒の端に

記事を読む

ヴァイオリンの「デタシェ」

フランス語の「分離した」という言葉からきた用語の「デタシェ」。一音ごとに弓を返して弾く奏法です。跳ね

記事を読む

ヴァイオリンの毎日の練習

基礎練習は自分に余裕のあるもので行うと成果が出やすいものです。 (難しい曲は自分の知識のためにやり

記事を読む

ヴァイオリン音階練習

音階練習をすると、着実に上手になります。 ただ漫然と練習すると効果を期待出来なくなってしまい

記事を読む

バッハのヴァイオリン 2

二十世紀の後半までは、バッハの楽譜でも有名なヴァイオリニストや教師が校訂(スラーや強弱を独自の解釈

記事を読む

コンサートに向けて

「この弦はまだ使えますよ。」 と、弦楽器職人のYさんのお言葉で、今回は替えずに…と思っていました。

記事を読む

教則本で有名なヴァイオリニスト 1

「セヴシック」 当教室の生徒さんでも取り組んでいる方が少なくない「セヴシック」。ヴァイ

記事を読む

ヴァイオリンの大きさ

ヴィオラ(コントラバスなども)は、楽器によって結構大きさに違いがあります。 それに対して(フル

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

  • banner banner banner banner
PAGE TOP ↑