ヴァイオリニストのサラサーテ
公開日:
:
ヴァイオリンの小話
サラサーテといえば「新しいヴァイオリン教本 6巻」にも出てくる「ツィゴイネルワイゼン」を思い出す方も多いでしょう。
ピアニストのハロルド・バウアーが1948年に出版した自伝に載っているサラサーテの話があります。
「君は、演奏家とオーケストラの指揮者の間に大きな違いがあるということを考えてみたことがあるかね?たとえば、私はヴァイオリンで、私の音楽をつくるけど、指揮者は小さな棒をもっているだけさ。
君はピアノを弾いているよね。それで音楽をつくっているわけだ。指揮者は小さな棒を持ってるだけさ。歌い手には声があり、それで音楽をつくるよね。だけど指揮者は小さな棒を持ってるだけさ。もし、あなたが、指揮者からその小さな棒を取り上げたとしたら、あとに何が残る?何も残らないさ。」
ここでは「指揮者は小さな棒を持ってるだけさ」というのが繰り返し出てきますが、サラサーテはこういう形の畳語的な言い回しが得意だったようです。
サラサーテのヴァイオリンテクニックは完璧で、イントネーションは正確無比で、特にハイポジションではそうであったそうです。
演奏ぶりには無理がなく、らくらくと弾いているので、聴衆には「さり気なく演奏している」ように見えたようです。
(ヴァイオリニストの)ティボーは「ちょっと高かったり、ちょっと低かったりというようなことはあったが、完全なピッチからはずれた音は聴いたことがない」と言っています。
(音階教本で有名なヴァイオリニスト&ヴァイオリン教師の)カール・フレッシュは回想録で、
「19世紀では最も偉大で、最も個性的な演奏家でした。サラサーテは偉大なスタイルを持つサロン風なヴィルトゥオーソの理想像でした。近代のヴァイオリン演奏の歴史は、彼なしには考えることができません。私の知る限りでは、彼は生徒を教えることはありませんでした。」
サラサーテの演奏を聴いて感動した作曲家たちは、彼に多くの名曲を献呈しています。
ブルッフ:コンチェルト第2番
ブルッフ:「スコットランド幻想曲」
サン・サーンス:コンチェルト第1 & 3
サン・サーンス:「序奏とロンド・カプリチオーソ」
ラロ:「スペイン交響曲」
ヴィエニャフスキ:コンチェルト第2番
当教室の発表会でも最近人気の「サラサーテ作曲 ナヴァラ」。ヴァイオリン二重奏で、ヴァイオリンの様々なテクニックが散りばめられています♫
ちょっと余談ですが、ティボーの話では、サラサーテにはステッキの収集癖があって、あらゆる種類のを持っていたそうです。
関連記事
-
-
ヴァイオリンの左手首
ヴァイオリンの左手首と腕を直線にすることが基本です。「手首に定規が付くように」と表現することもあり
-
-
有名になるヴァイオリニスト
「パガニーニの演奏を聴いた時、私はまだ14歳だったが、すでにヴァイオリンの技術はかなり習得していた
-
-
ヴァイオリンの速い重音
「ヴィエニアフスキ作曲 2つの性格の違うオベルタス」には、速い重音が出てきます。 ヴァイオリ
-
-
ヴァイオリンの運弓は
弓を持つ時、当教室では 「手指の末関節に弓を乗せて親指をフワーッと丸みを帯びた感じにして、指先
-
-
ヴァイオリンのスラー
「スラー」は「2つ以上の高さの違う音を、弓を返さずに繋げて弾く」奏法です。 スラーの中に何音も入っ
-
-
アウトドア・ヴァイオリン練習♫
この週末はお天気に恵まれて、気持ちが良かったですね! こんな日はヴァイオリンを持ってお出かけ…でも
-
-
ヴァイオリン教本の新版
昨年末に、音楽之友社「新しいヴァイオリン教本」の新版が出ました。 今日は銀座の楽器店で1〜4巻まで
-
-
ヴァイオリンレッスンの番組
昨夜、ピアノの友人からのお勧めテレビ番組のお知らせがきました。 とっても楽しみです!
-
-
ヴァイオリンのフィンガリング
フィンガリングについては、まず始めにどんな可能性があるかを考えます。フィンガリングは最大10個くら
-
-
大人になってからのヴァイオリン
このところ数件あったお問い合わせに 「新型コロナのステイホーム中に『ずっと弾いてみたかったヴ
- PREV
- ヴァイオリンとは?
- NEXT
- ヴァイオリン練習を消音で