ヴァイオリンの渦巻き(スクロール)
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ヴァイオリンの小話
ヴァイオリンのネックの先の渦巻きは、音響的な面からみると特別な役割は持っていません。なくても音にはほとんど影響しないようです。
実用的な面では、この渦巻きにひもをかけて楽器を吊るしておくためのもの、という説もあります。ヴァイオリン工房では製作中の楽器を紐(ひも)にかけて吊るしておくこともありますが、完成したヴァイオリンを吊るしておくことは普段あまりしないので「吊るしておくためのもの」ということもなさそうです。
そうなると渦巻きは、純粋に装飾的なものと考えられます。
16世紀頃までのヴィオール属や初期のヴァイオリン属の楽器のヘッド(渦巻きのところ)のデザインは多種多様でした。特にヴィオール属の装飾は、楽器全体に施されるものが多く出回ったようです。目隠しをしたキューピット、優美なエンジェル、その他ライオンや龍などもありました。
(そういえば、講師が小学生時代使用していた分数ヴァイオリンのヘッドは「ライオン」でした。)
渦巻きがヘッドのデザインに使われるようになったのは、16世紀前半のことと考えられています。17世紀に入ると複雑な彫刻は少なくなり、特にヴァイオリンは、ほとんど渦巻きに統一されました。
今日レッスンにいらしたOさんは、御自身の製作中のヴァイオリンのヘッドを見せて下さいました。精巧に書かれた線に沿って削っていくそうです。
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