ヴァイオリンの渦巻き(スクロール)
公開日:
:
ヴァイオリンの小話
ヴァイオリンのネックの先の渦巻きは、音響的な面からみると特別な役割は持っていません。なくても音にはほとんど影響しないようです。
実用的な面では、この渦巻きにひもをかけて楽器を吊るしておくためのもの、という説もあります。ヴァイオリン工房では製作中の楽器を紐(ひも)にかけて吊るしておくこともありますが、完成したヴァイオリンを吊るしておくことは普段あまりしないので「吊るしておくためのもの」ということもなさそうです。
そうなると渦巻きは、純粋に装飾的なものと考えられます。
16世紀頃までのヴィオール属や初期のヴァイオリン属の楽器のヘッド(渦巻きのところ)のデザインは多種多様でした。特にヴィオール属の装飾は、楽器全体に施されるものが多く出回ったようです。目隠しをしたキューピット、優美なエンジェル、その他ライオンや龍などもありました。
(そういえば、講師が小学生時代使用していた分数ヴァイオリンのヘッドは「ライオン」でした。)
渦巻きがヘッドのデザインに使われるようになったのは、16世紀前半のことと考えられています。17世紀に入ると複雑な彫刻は少なくなり、特にヴァイオリンは、ほとんど渦巻きに統一されました。
今日レッスンにいらしたOさんは、御自身の製作中のヴァイオリンのヘッドを見せて下さいました。精巧に書かれた線に沿って削っていくそうです。
関連記事
-
-
ヴァイオリニストの系譜 3
ドイツでは、ルイ・シュポーア(1784〜1859)が重要な役割をしています。シュポーアの門下には、フ
-
-
ヴァイオリン練習を手軽に
ヴァイオリン練習は ① ケースを開ける ② 肩当てを付ける という準備があります
-
-
日本のヴァイオリンの教本
日本でよく使われているヴァイオリンの教本は、3つあります。 「鈴木慎一バイオリン指導曲集」全
-
-
ヴァイオリニストの系譜 1
「自分で弾いている曲の作曲家の系譜は知っていた方が良いです。」と音大の先生もおっしゃっています。
-
-
「ご自身のヴァイオリン製作」その後 1
「ヴァイオリン製作の教室に入った当初は、仕事が忙しくて自宅の作業時間が取れませんでした。 作り始め
-
-
ヴァイオリンの速い重音
「ヴィエニアフスキ作曲 2つの性格の違うオベルタス」には、速い重音が出てきます。 ヴァイオリ
-
-
ヴァイオリンの練習 29
「ヴァイオリンの練習は、平日夜の9時頃にしています。 週末はまとめて練習を頑張っています。」 と、
-
-
ヴァイオリン(クラシック)音楽のフレーズ
クラシック音楽のフレーズは理解しておくことが必要です。 基本のフレーズというのは、小節でいy
-
-
ヴァイオリンのトリル
トリルは、もとの音(主要音)とその全音か半音上の音(補助音)をすばやく交互に鳴らす奏法の事です。装飾
- PREV
- ホール演奏に向けて 13
- NEXT
- ホール演奏に向けて 14