ヴァイオリンのヴィブラート
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Mちゃんは、幼い頃からヴィブラートのかかっていないヴァイオリンの音色が好きだったようで
「ヴィブラートをやってみますか?」
と何度か聞いた時も
「そのうちお願いします。」
という答えでした。
Mちゃんのヴァイオリンは、ヴィブラートなしでも澄んだ音色です。今弾いている曲は「ローデ作曲 コンチェルト」。中間部分のソロは、ゆっくりしたテンポの全音符で始まります。
「ちょっとヴィブラートをやってみますか?」
「はい、ヴィブラート、やってみます!」
アーノルド・スタインハートというグァルネリ四重奏団の第一ヴァイオリン奏者は、ヴィブラートについてこんなことを語っています。
ヴィブラートは奏者によって絶えず使用されています。しかし十分に考えて使われてはいません。この素晴らしい技術についてはほとんど書かれることはありません。弦楽器の奏法において最もおろそかにされている要素の一つであり、音楽性にとって重要だと考えられていないのです。奏者はバランスのよくとれた、ほどよい速さでよい響きを出してヴィブラートが出来ていると思いがちで、彼らがしなければならないことは全て出来たものと思いがちです。しかしそれは実際には、ヴィブラートの習得への第一歩に過ぎません。例えば、奏者が適切な速さでいつもヴィブラートを使用していることで、その技術を発展させたと考えているとしましょう。でも彼らは音楽的な演奏に何も付け加えてはいないのです。こうしたヴィブラートは、それを全くかけないでやるよりいいとはいえません。つまり、ヴィブラートというのは、歌わせるパッセージや長い音に変化と色彩を与えるためなのです。
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