ヴァイオリンのヴィブラートの効果

公開日: : ヴァイオリンの小話

ファーストポジションの音程が安定して、サードポジションに馴染んできた頃に始めるヴィブラート。

ヴィブラートは演奏を音楽的にするのに効果がありますが、それをコントロールするのはなかなか難しいです。(かけ方を間違えると音楽的でなくなってしまったり、品のない演奏になってしまう事もあります…)

ヴィブラートの物理的な本質は「音高の変化」です。音高が変化することでさまざまな音響的変化が起こり、演奏にさまざまな効果をもたらします。

その物理的効果は、

① 音高の変化によって倍音が増えて響きが増えます。

 音響的効果によって音量が大きくなります。

 音を際立たせます。

② 音高が細かく変化することで、ゆらぎの効果が出てきます。

音が柔らかく感じられます。

③ 音のつながりが滑らかになります。

  耳に対して一定の刺激だけを連続して与えなくなります。

このような物理的な効果を理解して、ヴィブラートの大きさ=音高の変化の大きさ=ヴィブラートの幅 を変化させたり、速さを変化させたり(一定の時間にかかるヴィブラートの数を増やす)することで、様々な演奏上の効果を得ることができます。

ヴィブラートの効果の代表的なものは次のようなものがあります。

① ある特定の音を際立たせます。

  また、音の響きを増やして美しく聞こえるようにします。

② アーティキュレーションをはっきりさせます。

  アーティキュレーションの始まりを際立たせるのと同時に、アーティキュレーションの中の音高のつながりを滑らかにします。

③ クレッシェンドやディミヌエンドの効果を増やします。

④ ヴィブラートの質を変化させることで、音質を変化させて、楽曲やフレーズに合う音を得ることができます。

こうした効果を知った演奏者は、バロック時代以前からヴィブラートを使っていました。

とは言っても、19世紀初頭までのヴィブラートは、音を飾る装飾として使われること主流だったようです。

「ラ・フォリア」を始めたRさんは、ヴィブラートを工夫しながら取り組んでいらっしゃいます。

関連記事

世田谷区立小学校で

今年上用賀アートホールの「サマーコンサート」で演奏した「プロコフィエフ作曲 ピーターとオオカミ」を、

記事を読む

ヴァイオリン練習 1

「朝ごはんを食べて、落ち着いた後に弾いています。 夕食の前に練習することもあります。」 と、Yさん

記事を読む

バッハ無伴奏ソナタ&パルティータの楽譜

バッハ作曲 「ヴァイオリンのための6曲の無伴奏ソナタ&パルティータ」の楽譜は、大抵のヴァイオリニス

記事を読む

ヴァイオリンのピチカート

ヴァイオリンのピチカートは弦を指で弾いて鳴らす奏法です。ピチカートの音色がもし少し曇っていたらチェッ

記事を読む

新しい「ヴァイオリンケース」に

「先日、楽器店で行われていた『ヴァイオリンケース フェア』で、店員さんにいろいろなお話を聞いている

記事を読む

(ヴァイオリンを含めて楽器の)ピッチ

ピッチ(ヘルツ)の世界標準ができたのは、第二次世界大戦後のことです。1955年、国際標準化機構(IS

記事を読む

サイレントヴァイオリン

お家での練習はサイレントヴァイオリンを使用しているAさん。 先週末は、そのサイレントヴァイオ

記事を読む

ヴァイオリンの豊かな音

ヴァイオリンの良さを引き出す音作りには「強く明確なイメージを持つ」「美しい音色に憧れること」が大切で

記事を読む

ヴァイオリンのボーイングで

ヴァイオリンを弾いていて「もっと、思ったような音楽表現が出来たら良いなあ。」と感じたら、 『ボーイ

記事を読む

ヴァイオリンの音程 1

弦楽器の音程は指板の上に築かれていきます。 ハイポジションは、まず指板の低いところに基準音を

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

  • banner banner banner banner
PAGE TOP ↑