弓の歴史
公開日:
:
ヴァイオリンの小話
古代の弓と中世に使われていた弓の形状は、絵画や文献も少なく明らかではないのですが「木や竹の棒の端に馬毛や羊の腸(ガット)、糸などを張って弓にしていた」と想像されています。
15世紀頃、それまで半月状にたわんでいた弓が、直線に近い形になります。それと同時に弓毛の張力を加えるために自在鍵という装置が使われるようになりました。
ヴァイオリンは16世紀に作られ始めましたが、弓はヴィオールなどと区別しないで使っていたようです。
コレルリ(1653〜1770)、ヴィヴァルディ(1678〜1741)、タルティーニ(1692〜1770)などの名ヴァイオリニストが活躍して、ヴァイオリンが普及していった時期に弓にもいろいろ工夫がされていきました。
全体の形がほぼ直線になり、弓毛の張力の調整ネジも使われるようになりました。
1700年頃(一部の製作者によって)作られ始めた スティックが凹状に反った現在のような弓は、ヴィルヘルム・クラーマー(1745〜1799)というヴァイオリニストが使い始めて広まるようになりました。

ルイ・トゥルテ(1740〜1780頃パリで活躍した)という製作家がクラーマーの弓を改良しました。
さらに、その息子フランソワ・トゥルテ(1747〜1835)は「弓のストラディヴァリス」と呼ばれる名製作家です。

フランソワ・トゥルテは、父の偉業を受け継いで、現在でも模範とされるような弓を完成させました。

フランソワは(それまで使われていたアイアンウッドやシュガーウッドではなく)より繊細でしなるブラジルのペルナンブーコを使用しました。
18世紀後半の最大のヴァイオリニストといわれているジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ(1755〜1824)は、フランソワ・トゥルテと交流があり、多くのアドヴァイスを行うことによって現在的な弓の完成に貢献したともされています。

関連記事
-
-
私もヴァイオリンアゴ当てカバーを
「ヴァイオリンのアゴ当てカバー、私も購入しました。」 と、Aさん。
-
-
「ヴァイオリン」の名称起源
ヴァイオリンの音楽が最初に発展したのはイタリアで、イタリア語ではこの楽器を「violino(ヴィオ
-
-
ヴァイオリンのチューニング
ヴァイオリンのチューニング(調弦)はA線から始めます。 A線とD線を5度の音程に合わせます。
-
-
ヴァイオリンのポジション移動
ヴァイオリンを始めて ファーストポジションが安定してきた頃に 始める「ポジション移動」: 左手指(の
-
-
ヴァイオリン練習 11
「ヴァイオリンの練習は、寝る前に少しですがしています。」 と、Mさん。 (今はヴァイオリ
-
-
ヴァイオリンの基礎練習 2
ヴァイオリンの練習の中でも「筋肉の動き」を見るために、全身が映る鏡を使います。 ビデオを使うのも良
-
-
オーケストラの弦楽器
オーケストラの楽器の配置は時代や地域によって違うことがあります。 昔は、指揮者の左手から「第
-
-
ヴァイオリニストの系譜 3
ドイツでは、ルイ・シュポーア(1784〜1859)が重要な役割をしています。シュポーアの門下には、フ
-
-
ヴァイオリンの弓の毛
ヴァイオリンの弓の毛は「モンゴル産」「カナダ産」「日本産」「イタリア産」...などいろいろあります
- PREV
- 古典派の巨匠ベートーヴェン
- NEXT
- プティ・コンセール出演